レシピ例

レシピ例

主要なレシピのリストは、GAPS本や多くのSCD本、ウェブサイトなどで見つけることができます。そこにのせたレシピに加えて、ここにもいくつかを載せておきます。

発酵食品

発酵食品は導入が不可欠です。これによりプロバイオテックなバクテリアを可能な限り最良な形で取り入れることができます。プロバイオテックのサプリは消化管の上部にとどまり、概して腸まで行くことができませんが、発酵食品は、プロバイオテック細菌を消化システムの最後端まで運んでいきます。発酵は食物を消化しやすいようにし、私たちの消化系が取り扱いやすい形にします。そのため発酵食品は腸内環境の損傷した人々にも容易に消化できるのです。発酵は、食品から栄養素を解き放つので、体にとって生理的に利用可能な状態にします。

たとえば、ザワークラウトは新鮮なキャベツの20倍の利用可能なビタミンCを含んでいます。食物は何でも発酵できます。ここにいくつかの発酵レシピを掲げますので作ってみるとよいでしょう。(すべてを導入する必要はありません。)研究してみて、自分だけのレシピを作ってみてください。ケフィアやヨーグルトの種菌を食物に入れて発酵させたり、ザワークラウトづくりのような伝統的な方法を使うことができます。

発酵食品の導入は常に徐々に行なわなければなりません。プロバイオテック細菌と生きた酵素が共に働きますので、「ダイオフ反応」(個体激減反応)を引き起こすかもしれません。人によっては発酵食品を「受け付けない」という場合があります。その理由は、発酵食品を最初から突然多量に口に入れた場合などに深刻な「ダイオフ反応」を起こすためです。プロバイオテック食品を食べ始める場合、必ず、一日に小さじ1杯以下の量から始めてください。状態の重篤度により、発酵食品の導入は個人差があり、速くできる人もあり、遅くやるべき人があります。一日小さじ1で、患者さんに「ダイオフ反応」が出たら、同じ量を数日以上続け、その後一日小さじ2杯に増やすようにしてください。小さじ2杯がよく導入できたら、もう1杯増やします。発酵食品の一日量を徐々に増やし続け、「ダイオフ反応」をコントロール下に保ちます。一度に導入する発酵食品は1つか二つに限るのがよいです。始める際の私のお勧めは、自家製ヨーグルトとザワークラウトのジュースです。多くの場合、同時に導入することができます。

ザワークラウト

ザワークラウトは古代から東欧に伝わる消化によく、解毒に効く食品です。市販のザワークラウトは加熱殺菌や、なにがしかの加工が施されていて、有用性が非常に低いため、自家製で作る必要があります。最初はザワークラウトの汁を患者さんの食事に入れるようにし、徐々にキャベツそのものを導入します。ザワークラウトは、胃酸の生成を刺激し、肉の消化においてよき連携をなします。GAPS患者さんの大部分は、胃酸の生成が低く、消化過程の最初から調子がくるってしまいます。ザワークラウトを一定期間常にとることで、患者さんの胃酸産生を回復させる助けとなります。GAPS本のレシピセクションの作り方を参照して自家製で作ってみてください。ザワークラウトには発酵細菌を入れる必要がありません。キャベツやその他の新鮮野菜には表面にすでに自然な形でバクテリアがいるからです。必ず自然の未加工塩を入れてよくもんでください。塩は、善玉菌が十分な乳酸を産生して腐敗細菌たちを殺すようになるまでの間、腐敗菌を窒息させます。もう一つの点は、野菜を大きなボウルに入れ、手でよくもむこと。これを誰か握力の強い人にやってもらってもいいでしょう。キャベツやニンジンから水が出てくるまで(塩を入れるとそれを促進します)よくもみ、発酵のために寝かせるときは、キャベツが完全に水につかっている状況にします。何かの理由でキャベツから十分な水が出てこなければ、水を足します。発酵は嫌気性のプロセスです。キャベツが空気に触れると、発酵ではなく腐敗が起こります。一度ザワークラウトを作ってみると、どんなに短時間で簡単にこのすばらしいヒーリングレメディを作れるかわかると思います。


自家製ヨーグルトとケフィア

袋入りの市販のスターターや、市販のナチュラルヨーグルトやケフィアを手に入れられると思います。GAPS本にヨーグルトづくりの方法が出ていますので、それにしたがって作ってください。ケフィアも同じつくり方でケフィアのスターターや市販のナチュラル・ケフィアをスターターとして使うことができます。最初に作ったヨーグルトやケフィアを使ってもっと多く作れます。スターターとして1カップを残しておいて次のバッチに使うのです。ヨーグルトやケフィアをオーガニックの無殺菌の(生)乳を使って作るのなら、温めずに、スターターのみを入れて発酵させてください。殺菌された乳であれば温める必要があります。殺菌乳は、病原体細菌の汚染に対して抵抗が弱いため、温める必要があります。生乳は自らのプロバイオテック細菌やその他の要因に守られているのです。覚えておいていただきたいのは、ケフィアはヨーグルトよりも効能あるバクテリアが多いので、ケフィアの方が「ダイオフ反応」が強く出ます。そのため、まずヨーグルトを導入してからケフィアを導入することをお勧めしています。どちらもゆっくり徐々に導入し、「ダイオフ反応」を抑えなければなりません。ケフィアは、プロバイオテック細菌のほかに、有益なイースト菌を含んでいます。それで、イースト菌の異常発生のある人に導入することが不可欠です。健康な人間の腸には、有益細菌やその他の細菌叢のほかに、多くの有益なイースト菌がいます。「悪玉」イースト菌を排除するためには、「善玉」イーストと交換する必要があります。ヨーグルトやケフィアをチーズクロスに通してホエイとカッテージチーズに分けることができます。ホエイを清潔なガラス瓶に入れてふたをしっかり締めて冷蔵庫に保管し、食品の発酵のスターターとして使います。野菜、魚、豆、穀類(患者さんが食べられる段階なら)をホエイで発酵できます。このカッテージチーズは、はちみつ、果物、スープに入れたり、おいしいおやつとして食べることができます。


ホエイ発酵野菜

ホエイ(あるいは市販のヨーグルトやケフィアスターター)で野菜の発酵ができます。キャベツ(白、紫、その他のキャベツでも)、ビートルート、にんにく、カリフラワー、ニンジン適量を一口大に薄切りか、大きめにシュレッドし、塩を適量加えて広口ガラス瓶にゆるく詰めます。1/2リットルの冷水にヨーグルトかケフィアの種菌をとかします。あるいは、大匙4~5杯の自家製ホエイを水に溶かします。この水溶液を、野菜が完全にかぶるまでビンを満たします。(野菜が完全に水面下に来ないなら、かぶるまで水を足します)びんにふたをし、室温で7~10日発酵させます。野菜が柔らかく、すっぱくなります。発酵ができたら、この野菜からのジュースを導入します。ジュースを小さじ1杯スープやシチューに入れるところからスタートします。徐々に液の量を増やし、やはり、少量から中身の野菜も導入するようにします。これらの野菜や液は、すぐれたプロバイオテック食品で、消化を助けます。

野菜メドレー

この簡単なレシピで、おいしい発酵野菜と、すばらしい飲み物ができます。2~3リットルの広口ガラス瓶に、キャベツ半分のざく切り、中サイズのビートルートのスライス、一握りのにんにく、ディルシードか生のディルを適量入れます。野菜のかさがびんの3分の2を超えない程度に入れます。セルティック塩大匙1~2杯、ホエイ1カップに水を足してビンいっぱいまで満たします。溶液の上から小さな皿を乗せ、野菜がつけ汁に完全に沈むようにします。室温で1~2週間発酵させます。野菜がやわらかく、すっぱくなっていたらできあがりです。そうなれば、ビンごと冷蔵庫に入れてください。食事とともに、あるいは、食間にこのつけ汁を水で薄めて飲み、野菜を肉とともに食べます。つけ汁と野菜が減ってきたら、新鮮なキャベツ、ビートルート、にんにく、塩適量を入れ、水で満たし、室温でまた発酵させます。また、カリフラワー、ニンジンのスライス、小キャベツ、ブロッコリなどを入れてもいいのです。この野菜メドレーは、減ったら野菜を足し、を繰り返し、好きなだけ長く永遠につづけることができます。


ビートルート・クヴァス

ナイフで中サイズのビートルートをスライスします。(フードプロセッサで小さくすると、ビートルートを破壊し、発酵が速く進みすぎ、アルコールが出てきます。)ビートルートを2リットル瓶に入れ、セルティック塩大匙1~2、ホウェイ1カップ、にんにく5かけ、ディルシードを小さじ1加え、水で満たします。温かい場所で2~5日間発酵させます。その後冷蔵庫で保存します。水で薄めて飲みます。ビンに水を足し続けるとクヴァスは長くもちます。色が薄くなれば、ビートルートは使い切ったということで、新しく作ってください。


クヴァス

クヴァス作りは、果物、ベリー類、野菜など、どんな組み合わせでもできます。実験してみてください。よいレシピとしては、りんご・しょうが、ラズベリーのクヴァスがあります。芯を含むリンゴ丸ごとをスライスし、根ショウガをおろし(小さじ1ほど)、新鮮な生のラズベリーを一握り用意します。すべてを1リットルビンに入れ、2分の1カップのホエイを加え、水を足してビンを満たします。数日間室温で発酵させ、その後冷蔵保存します。水で薄めて飲んでください。果物が使い切れるまでは水を足し続け、また新しく始めます。


プロバイオテック・トマトジュース

ホエイ1カップ、トマトピューレ、水1カップ、塩適宜をよくブレンドします。冷やして召し上がれ。


発酵魚

スターターとして、自家製ホエイかケフィアを使えます。1リットルビンにはニシンか真アジ3~4尾ほどが必要です。皮と骨をとり、一口大に切ります。魚の身をビンに入れ、軽くつぶした粒コショウ、玉ねぎのスライス少量(オプショナル)、コリアンダーシード、ベイリーフ、ディルシード、ディルハーブを混ぜます。別のビンに、2分の1リットルの水に、シーソルト大匙1、自家製ホエイ大匙3~4を溶かします。この漬け液を魚のビンに入れ、魚が完全にかぶるようにします。魚が液に沈まないなら、水を足します。ビンをしっかり締め、室温で3~5日発酵させ、その後冷蔵保存します。この魚は長く持たないので、数日以内に食べてください。アボカド、玉ねぎを添えて出してください。


魚の発酵、もう一つの方法

新鮮なイワシ(ニシンとアジでもOKです)を、ウロコをとり、頭をとり、内臓を洗い出します。適当な大きさのガラスビンかステンレスの鍋に入れます。ホエイ1~2カップ、水1リットルにつき大匙1~2の塩、粒黒コショウ小さじ1(つぶしたて)、ベイリーフ10枚、コリアンダーシード小さじ半分(つぶしたて)を入れます。魚が完全に被るまで水を加えます。完全に水に浸るように、上から小さな皿をおいてもいいです。鍋のふたをする、ビンのふたをして、室温で3~5日発酵させます。魚の発酵ができたら、骨をはずし、一口大に切り、アボカド、生のディル、赤たまねぎの切ったものを添えて出します。


発酵穀物

穀物を導入できる時が来たら、まずは、発酵したものを出します。ソバ、ヒエ、キヌアなどの発酵のためには、まず、水に浸し、ホエイ2分の1カップを入れます。室温で数日発酵させます。キヌアは1~2日、ソバは、2~3日、ミレーは4~5日発酵させます。発酵が終わったら、液を流し、自家製の肉のストックや塩を加えた(穀類1カップに対して、水分は2カップ入れる)水で炊きます。出来上がった状態は、水分が完全に穀物に吸い込まれていて、穀物が柔らかく、ふやけたかんじになっていなければなりません。肉、野菜と食べたり、小麦粉の代わりに焼き菓子に使ったりして食べます。導入は、徐々に、一日スプーンに1~2杯ほどから始め、リアクションが出ないかをよく観察します。穀物を食べてもらうとき忘れてならないのは、天然脂肪をたくさん添えることです。バター、ギー、オリーブオイル、ココナッツオイル、動物脂肪などです。これらの脂肪は、穀類の消化のスピードを遅くし、血糖値のレベルをコントロールする助けとなります。


ベイクド・ビーンズ

市販のベイクド・ビーンズは、砂糖が多く含まれており、避けるべきです。自家製で作るとよいです。豆類やプルスの導入を急がないでください。概して消化の難しいものですので。500gの白インゲン豆(インゲンマメ)を12~24時間水に浸し、水を捨てます。冷水でよく洗い、水を捨てる。水に漬け置き、すすぐことで、豆の有毒物質(レクチンやその他のでんぷん)を洗い流します。再度水で浸し、自家製ケフィア、ヨーグルト、あるいはホエイを大匙4~5入れます。室温で一週間発酵させます。この豆をすすいだら料理に使える状態になります。大きな鍋に、1.5リットルの水、大匙1のリンゴ酢、小さじ1のシーソルト、大匙4のトマトピュレ、カイエンヌペッパー一つまみ、黒コショウ1つまみ、ベイリーフ5~6枚、ローズマリー1枝、タイム少々、クローブ数個、バター100gを入れます。鍋にふたをし、オーブンに入れます。120で4~5時間加熱。時々かきまぜます。豆が煮える前に蒸発したら、水をまた足します。料理の終わるころまでに水があまり減らなければ、ふたを取って、15~20分、高めの温度(150~180)で水を飛ばします。熱くても冷たくてもおいしいです。

このバリエーションとして、チキンや鴨一羽丸ごとを切ったものや、ソーセージ、ラム、牛肉、豚肉、など、玉ねぎ、にんじん、にんにくなどをオーブンに入れる時に加えます。このバリエーションは優れた食事となります。